就労ビザとは
外国人が日本で働くためには就労ビザが必要です。しかし一口に就労ビザといっても多くの種類があり、従事する仕事内容によって取得する就労ビザが異なります。
現在,就労ビザは全部で19種類ありますが(2022年6月時点),その中で圧倒的に多く取得されているのは「技術・人文知識・国際業務」「特定技能1号」「技能実習」の3つです。
技術・人文知識・国際業務 | ホワイトカラーの仕事 たとえば… ・企業の総合職の仕事(海外取引業務,通訳・翻訳,会計業務,人事・総務など) ・企業の技術職の仕事(技術者など) ・その他(デザイン,語学教師など) |
特定技能1号 | 工場作業,建設作業などの技能職 対象12業種で就労可能: ビルクリーニング業, 素形材産業, 産業機械製造業/ 電気/電子情報関連産業, 建設業, 造船・舶用工業, 自動車整備業, 航空業, 宿泊業, 農業, 漁業, 飲食料品製造業, 外食業 |
技能実習 | 工場作業,建設作業などの技能職 指定の85業種156職種で就労可能 ※令和4年3月17日時点 |
「技術・人文知識・国際業務」ビザとは
「技術・人文知識・国際業務」ビザは大学を卒業した人や国家資格を持つ高度人材向けのビザです。企業の総合職や技術職など,ホワイトカラーの仕事に従事することができます。
「技術・人文知識・国際業務」ビザでは単純労働が厳しく禁止されています。違反すると不法就労とみなされビザの更新が認められないなどの厳しい制裁が科されることがあるので注意が必要です。
高度人材向けのビザにはこのほかにも,現地企業からの転勤者のための「企業内転勤」,外国料理の調理師のための「技能」,会社経営者のための「経営・管理」,介護福祉士の国家資格者ための「介護」などもあります。
「技能実習」「特定技能1号」ビザとは
ホワイトカラーの仕事のための「技術・人文知識・国際業務」ビザに対し,「技能実習」と「特定技能1号」は工場作業や建設作業,農業といった単純労働に近い仕事(技能職)に就く外国人向けのビザです。
「技能実習」と「特定技能1号」の仕事内容は非常に類似しており重複する部分も多いですが,受け入れ目的や、就労期間、転職の可否などの就労のルールが大きく異なります。どちらのビザを取得するかは,これらの条件を考慮して決定することになります。
技能実習 | 特定技能 | 技術・人文知識・国際業務 | |
---|---|---|---|
受け入れ目的 | 開発途上国への技能移転 | 人手不足の解消 | 高度人材の受け入れ |
就労期間 | 最長5年 | 最長5年 | 永続的 |
転職の可否 | × | 〇 | 〇 |
家族帯同 | × | × | 〇 |
永住申請 | × | × | 〇 |
就職ルート | 海外での採用 | 指定なし | 指定なし |
就労できる期間
上記のように「技能実習」と「特定技能1号」の就労期間はどちらも最長5年です。しかし「技能実習」を修了した外国人は「特定技能1号」に移行して継続的に働くことができるため,両方の制度を併用することで最長10年の就労が可能になります。これらの制度の最大のメリットの一つと言えるでしょう。
「技能実習」最長5年+「特定技能1号」最長5年=最長10年
就労できるその他のビザ
実際には,上記のどの就労ビザにも該当しない仕事も実際には多くあります。たとえば,企業の電話受付係やデータ入力係,小売店のレジ係、飲食店のウエイトレス,美容師や保育士などです。そのような仕事の場合は就労ビザを取得して働くことができません。
しかし,永住者や配偶者ビザなどの身分資格の外国人,あるいはアルバイトの留学生の場合はこのような仕事にも従事することが可能です。
就労制限のない身分資格には,「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4つがあります。

このように,就労ビザは仕事内容や就労条件を考慮しながら慎重に選ぶことが必要です。外国人を雇用する会社側としては受入れコストも考慮する必要があるしょう。
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