特定技能では、外国人の母国語で支援をするため、事前に通訳者を確保しておく必要があります。登録支援機関が支援する場合は登録支援機関が確保し、受入れ企業が自社で支援する場合は自社で確保します。
ここでは、特定技能における通訳者の役割や、通訳者の見つけ方を解説していきます。
通訳者の業務内容
通訳者の役割
どのような支援で通訳が必要になるのか、以下の表で確認しながら見ていきましょう。
上記①~⑩の支援のうち,以下について,外国人が十分に理解できる言語(母国語等)で支援をすることが必要とされています。なお、「外国人が十分に理解することができる言語」は、外国人の母国語に限定されません。
- 「①事前ガイダンス」
- 「④生活オリエンテーション」
- 「⑦相談・苦情への対応」
- 「⑩定期面談」
日本語が上手な外国人でも通訳が必要なのかニャ?
通訳者が不要なケース
「外国人が十分に理解することができる言語」が日本語である場合には、通訳なしでの支援が認められる場合があります。
ただし、特定技能外国人が一定レベルの日本語試験に合格していたり,日本の大学を卒業していたりするなど,客観的に見て高度な日本語能力があると立証できることが必要です。
通訳者の業務量
通訳者の業務量について、支援ごとに見てみましょう。
支 援 | 通訳の量 |
---|---|
事前ガイダンス | 3時間以上 |
生活オリエンテーション | 8時間以上 |
相談・苦情への対応 | 1週間当たり勤務日に3日以上、休日に1日以上 |
定期面談 | 3か月に一回以上 |
事前ガイダンスは3時間以上、生活オリエンテーションは8時間以上実施することになっています。長時間の通訳となりますが、集中的にやればそれぞれ1日で終わらせることも可能です。
定期面談については、3か月に1回以上実施すればよいことになっていますので、通訳が必要になる頻度は高くありません。
一方で、業務量が多いのが相談・苦情への対応です。
これについては、日々の対応が(場合によっては夜間の対応も)必要になります。具体的には、1週間当たり、勤務日に3日以上、休日に1日以上対応しなければならず、緊急時にも対応が必要です。
通訳の確保にあたっては、この点をクリアできる通訳を見つけることが課題になるでしょう。
通訳者の見つけ方
通訳を確保するには、次のような方法があります。
①正社員やアルバイトで雇用する
支援のために通訳者を新規に雇用するのは、企業規模が大きく、特定技能外国人をたくさん雇用しているなど、通訳の業務量が多くなる場合に有効です。
一方で、すでに外国語ができる社員(外国人含む)が社内にいる場合は、彼らに通訳業務を任せることが考えられるでしょう。
あるいは、彼らを支援担当者に任命し、通訳も兼務してもらうことが考えられます。
このような形で、社内で通訳を賄うメリットとしては、緊急時に迅速に対応しやすいことや、社内の人間であるため、支援する側とされる側(外国人)の双方にとって安心感が得られることなどが挙げられます。
雇用している外国人に通訳や支援担当者の業務を任せる場合は、これらの業務に従事することが認められている在留資格(「永住者」「技術・人文知識・国際業務」「日本人の配偶者等」等)を持っている人でなければならなりません。不法就労をさせてしまうことがないよう、くれぐれも注意が必要です。
②通訳会社や個人事業主(フリーランス)に外部委託する
通訳者を通訳会社から派遣してもらったり、あるいはフリーランスの通訳者に委託することも可能です。また、通訳会社が提供しているオンライン通訳サービスを利用する方法もあります。
外部委託のメリットは、必要な時だけ委託でき、利用した分だけ費用を支払うことになるため、自社で雇用するよりもコスト削減になる場合があることです。
一方、デメリットとしては、緊急時にすぐに対応してもらうのが難しい場合があったり、信頼面や能力面で納得できる人材を見つけるのが難しい場合があることです。
フリーランスの外国人に通訳を委託する場合は、通訳の仕事が認められている在留資格(「永住者」「技術・人文知識・国際業務」「日本人の配偶者」等)を持っている人でなければならないので注意が必要です。