企業内転勤ビザとは
企業内転勤ビザは,海外の支店や関連会社から転勤してくる人のための就労ビザです。どのようなケースの転勤であれば取得できるのか(異動の範囲),またこのビザで従事できる業務範囲について解説していきます。
異動の範囲
「転勤」というと,通常,同一会社内の異動を指しますが,「企業内転勤」ビザは以下の場合の異動すべてにおいて取得できます。
- 本店と支店間の異動
- 親会社と子会社間の異動
- 親会社と孫会社間の異動
- 小会社間の異動
- 孫会社間の異動
- 小会社と孫会社間の異動
- 関連会社への異動
業務範囲
企業内転勤ビザで従事できる仕事には制限があり,どのような業務にでも従事できるわけではないので注意が必要です。
このビザで従事できるのは,技術・人文知識・国際業務ビザに該当する仕事です。また,工場作業などの単純労働も、技術・人文知識・国際業務ビザと同様に厳しく禁止されていることに留意しましょう。
企業内転勤ビザの取得要件
企業内転勤ビザを取得するには以下の要件を満たしていることが必要です。
- ①海外の支店や関連会社から期間を定めて転勤すること
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ビザ申請では、転勤を行う会社間の関係性を示す資料(出資関係など)や,転勤期間が記載されている転勤命令書などの提出を求められます。
- ②従事する仕事が技術・人文知識・国際業務ビザの就労範囲内であること
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技術・人文知識・国際業務ビザの業務範囲は別コラム「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得する方法 ① 業務内容の決め方で解説しています。単純労働や専門性の低い業務が含まれているとビザを取得できないので注意が必要です。ビザ申請では、業務内容に関する詳しい説明や立証資料が求められる場合があります。
- ③ 転勤直前に外国の支店や関連会社等で1年以上、技術・人文知識・国際業務ビザの業務に従事していたこと」
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ビザ申請では、外国の支店や関連会社等で1年以上在籍していたことを証明する在籍証明書等の提出が必要になります。
- ④給与が日本人と同等額以上であること
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社内で同じ業務を行う日本人社員と同等額以上の給与であることが必要です。社内に同様の業務を行う日本人社員がいない場合は、同業他社の給与を参考にします。
- ⑤勤務先の事業に安定性・継続性があること
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勤務先の経営状況が安定しており,外国人を安定的に雇用していけることが必要です。採用後に行うビザ申請では、決算書の提出が求められます。
- ⑥法令違反がないこと
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外国人と雇用主ともに法令違反がないことが必要です。
上記の要件を満たしていない場合でも,学歴や実務経験において「技術・人文知識・国際業務」ビザの要件を満たしている場合は,技術・人文知識・国際業務ビザを取得することができます。
報酬の支払い方法
企業内転勤ビザの報酬は、外国法人又は日本法人のどちらが支払っても構いません。両者が支払うことも可能です。
しかし外国法人が報酬を支払う場合は、国によっては賃金の水準が日本よりも著しく低いことがあるため注意が必要です。その場合は、日本国内で働く日本人の賃金を基準にし、それと同等以上の報酬を支払うことが必要です。
企業内転勤ビザの申請書類
企業内転勤ビザの申請書類は,こちらの入管ホーム―ページに公開されています。このサイトから申請の種類を選択すると,会社規模(カテゴリー)ごとの必要書類を参照することができます。
以下に参考として、一般的な中小企業(カテゴリー3)の場合に必要となる書類を挙げてみます。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 証明写真(縦4㎝×横3㎝)
- 返信用封筒
- 申請理由書
- 直近の決算報告書
- 外国法人及び日本法人の会社案内
- 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
- 転勤命令書の写し又は辞令等の写し(※法人を異にしない転勤の場合)
- 労働条件を明示する文書(※法人を異にする転勤の場合)
- 役員報酬を決議した株主総会議事録のコピー(※役員として転勤する場合)
- 外国法人の支店の登記事項証明書(※同一法人内の転勤の場合)
- 日本法人と出向元の外国法人との出資関係を証明する資料(例:定款、株主名簿など。※日本法人への転勤の場合)
- 外国法人の支店の登記事項証明書等(※日本に事務所を有する外国法人への転勤の場合)
- 外国人本人の履歴書(関連する業務に従事した機関及び内容、期間を明示したもの)
- 外国人本人が過去1年間に従事した業務内容及び地位,報酬を明示した転勤の直前に勤務した外国の機関の証明書
申請に関する問合せ先
申請書の書き方や必要書類等についての質問がある場合は、外国人在留総合インフォメーションセンターに電話で問い合わせることができます。
外国人在留総合インフォメーションセンター TEL : 0570-013904(IP電話・海外から:03-5796-7112)
効率的にビザを取得するには、行政書士などの入管法の専門家に相談するとよいでしょう。
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