外国人が日本で働く場合には必ず就労ビザが必要です。そして,介護職の外国人が取得する就労ビザは主に,
「介護」「特定技能」「技能実習」
のいずれかです。
以下の図表のように,就労条件等は就労ビザの種類ごとに異なりますが,受入れ手続きについても,就労ビザごとに大きく異なります。
ここでは,図表中央の「特定技能」ビザでの受入れ手続きについて解説していきます(「介護」ビザの受け入れ手続きについてはこちらをご覧ください)。
就労ビザ(在留資格) | 「 | 技能実習」ビザ「 特定技能」ビザ | 「 | 介護」ビザ
介護福祉士資格 | なし | なし | あり |
就労期間 | 最長5年 | 最長5年 | 永続的 |
採用ルート | 海外 | 国内または海外 | 国内または海外 |
転職 | × | 〇 | 〇 |
「特定技能」ビザの手続きの手順
「特定技能」ビザの手続は非常に煩雑です。このため,手続きをスムーズかつ確実に進めるには,行政書士などの専門家を利用しながら行うのがよいでしょう。ここでは,大まかな流れをつかんでおきましょう。
申請書や雇用契約書,支援計画書などを作成し,社会保険関係の書類なども用意します。
「特定技能」ビザの申請書類は大変複雑で分量も多いため,自社で行うのは困難な場合が多いでしょう。行政書士などに手続きを依頼するほうが効率的です。
ビザ申請の審査期間は,国内の外国人の在留資格変更の場合は1~2カ月,海外の外国人の呼び寄せ(在留資格認定証明書交付申請)の場合は1カ月〜3カ月かかります。
これにくわえ,1カ月~2カ月程度の申請準備期間を考慮する必要があります。
ビザ申請にあたり,外国人の在留期限が迫っていて手続きが困難になる場合は,特定技能の移行準備(申請準備)のための在留資格「特定技能(4カ月・就労可)」を取得してから準備をはじめるとよいでしょう。
外国人に自社で働いてもらいながら申請準備を進めることができます。
なお,「特定技能」ビザの申請にあたり一つ注意が必要なのは,在留資格の手続きにくわえ,外国人の国籍によっては,母国での手続きも必要になる場合があることです。母国での手続きが必要になる場合,これ完了していないと在留資格の許可を得られません。
国内の外国人の場合は,入管で許可を得た当日から就労できます。
海外の外国人の場合は,入管で許可を得た後,母国での査証手続き(所要期間:1週間程度)を経て来日し,来日した当日から就労できます。
外国人が入社したら,雇用主はハローワークに外国人の雇入れの届出(外国人雇用状況届出)を行う義務がありますので忘れずに行いましょう。
特定技能外国人を受け入れた企業は,外国人を受け入れた日から4カ月以内に,「協議会」への加入が義務付けられています。
協議会とは … 厚生労働省などの業所管省庁や業界団体,受入れ施設,学識経験者などを構成員とする団体です。外国人の適切な受入れや保護,また企業が必要な特定技能外国人を受け入れられる体制づくりを目的として,制度や情報の周知,人手不足の状況把握や対応などを行っています。
協議会の加入手続きの手順は以下の通りです。
【協議会への加入手続きの手順】
在留資格申請の際に,「介護分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書」(介護参考様式第1-1号)を提出する
申請システムに必要情報を入力し,添付書類をアップロードする。外国人を受け入れた日から4カ月以内に手続きをする必要がある。
申請システムから,「協議会入会証明書」をダウンロードする。
協議会への加入方法の詳細は,こちらの厚生労働省ホームページでご覧いただけます。
特定技能で受け入れた企業は,外国人への支援を行うほか,受入れ状況などに関する届出が義務付けられています。
外国人への支援については,STEP2で登録支援機関と委託契約をしている場合は,登録支援機関に支援を委託できます。
届出義務については,大きく分けて,
①3カ月ごとに行う定期的な届出(受入れ状況や支援状況に関する届出)
②随時行う届出(雇用契約や支援に関して状況変更が生じた際の届出)
の2つがあります。
これらの届出を怠ると特定技能での受入れができなくなってしまうので,確実に行うことが必要です。
特定技能の届出についての詳細は,こちらの法務省ホームーページでご覧いただけます。
在留期限の3か月前からビザ更新の申請をすることが可能です。オーバーステイになり違法な就労とならないよう,受入れ側でも在留期限の管理をし,確実に手続きを行う必要があります。ビザ更新についても,行政書士などに手続きを依頼することが可能です。
手続きを依頼できる専門家
「特定技能」ビザの申請手続きは、行政書士または登録支援機関に依頼することができます。
ただし、依頼できる範囲は以下のように異なるので注意が必要です。
・行政書士…書類作成から申請まで一括代行できる
・登録支援機関…申請のみ代行可能(書類作成は不可)
行政書士以外の者が書類作成を代行することは法令(行政書士法)で禁止されています。このため,登録支援機関が代行できるのは申請書類の提出のみとなります。
いかがでしたでしょうか?
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